韓鶴子女史み言アーカイブ

韓鶴子女史が語られた至宝のメッセージ

平和の根源は神様②

 しかし、不幸にも私たちが暮らしているこの世界は、平和の世界、希望の世界、未来が保障された世界にはなっておらず、善悪が混在する世界になっています。

 周囲に現れる環境は、善なる環境というよりは悪なる環境になっています。このように周囲が悪なる環境に取り囲まれているので、いくら種が良くても、良い実を結ぶことができないというのです。

 人類歴史を見ても、同じです。人類が善であり得るためには、まず人類を形成している個々人が善でなければなりません。

 堕落していなかったなら、私たち人間は、理想的な春の園を迎えていたことでしょう。その理想的な春の園で、神様が喜び得る人々として、育っていたことでしょう。そのように育った人類なら、この地上に本然の文化世界を開花させていたことでしょう。文化世界を創造したその中で、私たち人類は、平和で、幸せに暮らしていたことでしょう。

 万物世界が春夏秋冬の季節に従って巡ってくるのと同様、人類歴史もやはり春の季節、夏の季節、秋の季節、冬の季節のような過程を経ながら、永続する世界になるべきであったのに、堕落することによって、人間の世の中では、人々が喜び得る希望の時、栄光の一日を迎え得る喜びの出発ができなかったのです。

 もう1度繰り返しますが、人間始祖アダムとエバから生まれたカインとアベルは、神様の愛を中心として生まれた子供ではありません。神様の真なる血統を伝授されなければならなかったアダムとエバが、堕落行為を通してサタンの偽りの血統を受け継いだがゆえに、彼らから生まれた子供たちは、神様の子供ではない、サタン、悪魔の子供になるしかない運命をもって生まれたのです。

 ですから、イエス様もヨハネによる福音書8章44節で「あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって、その父の欲望どおりを行おうと思っている」と戒めたのです。

 アダムとエバは、神様のむちで追い出された私たちの最初の先祖となりました。しかし、本来アダムとエバは、神様から「愛するアダムよ、愛するエバよ、私はあなた方を、宇宙のすべてを創造した目的の世界、愛の園を建設するために造ったので、あなた方は平和と幸福の主人であり、父母であり、王である」という祝福を受けるべきだったのです。アダムが、千秋万代、永遠に変わることなく地上の王であり、天上の王として生きるべきだったのです。

 天地が生じ、神様と人間の因縁が生じたのち、初めて真なる主人、真なる父母、真なる王の名をつけられるべきだったお方が誰かというと、正に私たちの始祖アダムだったというのです。

 それでは、何が人間をこのように悲惨な堕落の道に追いやったのでしょうか。一言で堕落とは、自己中心的自覚から始まりました。今日、私たちの周辺で、堂々と我がもの顔で猛威を振るっている極度の利己主義的思考と行為が、正に私たちを堕落の道に追いやった元凶なのです。他人の立場や境遇を考える前に、自らの利益や便宜だけを追求する拙劣な行為、他人が死のうと死ぬまいと自分だけが生きようという破廉恥な姿は、みな堕落を引き起こした行為の片鱗なのです。しかし、これは、創造当時に神様が計画なさった本来の目的ではありません。神様もこのような世の中を願われず、人間もこのような世の中に生まれて暮らすことを願いませんでした。


韓鶴子総裁講演集」より

平和の根源は神様①

「天地父母統一安着生活圏大会」

2002年8月18日、福岡大会、シーホークホテル&リゾート
       19日、広島大会、ホテルグランヴィア広島
       20日、高松大会、高松国際ホテル
       21日、神戸大会、ホテルオークラ神戸
       22日、大阪大会、ホテル阪急インターナショナル
       23日、名古屋大会、ホテルグランコート名古屋
       24日、金沢大会、金沢国際ホテル
       25日、新潟大会、ホテルオークラ新潟
       26日、横浜大会、ヨコハマロイヤルパークホテルニッコー
       27日、仙台大会、江陽グランドホテル
       28日、札幌大会、札幌パークホテル
       29日、東京大会、ホテルオークラ東京

 愛する日本の兄弟姉妹の皆さん! そしてこの歴史的な大会を見守っている7000万の世界の人々と霊界の7億の祝福家庭の皆さん!

 私たちは、いよいよ本当に歴史的で摂理的な時を迎えました。6000年間、天と地がこれほどまでに待ち焦がれていた平和の理想世界、すなわち地上・天上天国を創建する天運の時が私たちに訪れたということです。

 天は、歴史を通して摂理されながら、その時代と地域的文化に合わせて宗教を許可され、人類は、その宗教圏内で平和の世界を成就するために、不断の努力を傾けてきました。しかし、人類は今日もあらゆる不条理と不道徳の中から抜け出すことができずに、うめき苦しんでいます。津波のように押し寄せる堕落の風潮を押しとどめることができないまま、激しい波にのみ込まれる自らにふと気づき、驚愕を禁じ得ないのが現代人たちの自ら描く姿です。

 だとするならば、私たちには永遠に希望がないというのでしょうか。私は、夫である文鮮明総裁と共に、神様のメッセージを伝えることに生涯を捧げてきました。そして、その預言的なメッセージの数々は、時代と環境の現実的な制約を超え、事実であり、真理であることが証明されつつあります。

 私は、今日もこのように天のメッセージをもって皆さんの前にまいりました。信じる信じないは皆さんの役割ですが、私は悲壮な覚悟でこのメッセージを、終末期を迎えた今日の人類に、神様に代わってお伝えします。「平和の根源は神様」と題してお話しします。どうか心の門を開き、無知と混沌でつづられた今日の終末期を生きている人類に下さった天からの警告として、謙虚に受け入れてくださるようお願いします。

 本来、人間はエデンの園で、神様を中心として、永遠の自由と理想と平和を享受しながら暮らすように造られました。しかし、私たちの始祖であるアダムとエバの堕落により、そのような本然の世界が成されませんでした。

 堕落したその日から、この地上には苦痛と悲しみと悲運の歴史が始まりました。真なる愛と真なる理念をもって生きるべき人間が、真なる理念をもつことができませんでしたし、真なる愛とは何であるか分からなくなってしまい、幸福な環境で暮らすべき人間が幸福の園を失ってしまいました。

 自由と平和を謳歌し、ひいては創造主の前に心から一つになり、幸福のすべての要素をもって、栄光をお帰しすべきでしたが、そのような人間になることができなかったのです。サタンは、私たちの真の父母を蹂躙し、私たちの真なる家庭と真なる兄弟を蹂躙し、真なる氏族、民族、国家、世界を蹂躙したのです。

 それだけでしょうか。今まで6000年の長い歳月の間、神様を苦難と逆境に追い込んだ張本人です。

 このように、堕落はこの地上に死亡の歴史を出発させ、その日からこの地は、平和の地どころか苦痛の地となり、死亡がこの地上を覆ったその日から、どこでも人間が住む所には、平和ならぬ闘いの歴史路程を経るようになったというのです。個人的には心と体の葛藤として闘いが継続され、家庭においては家庭的な争いがあり、またこの闘いは民族的な闘い、あるいは世界的な闘いに拡大され、今日、世界のどこを探しても、争いのない所がないという歴史をつづってきました。

 もう1度繰り返しますが、これらはすべて人間堕落の結果なのです。世界中の数ある国家の中には、環境が良くなくても良い種をもつ国家がありますし、環境が良くても悪い種をもつ国家が存在し得ます。

 もし、この世界がすべて良い種を受けていたとするならば、すなわち、この世界がもともと良い木から採れた良い種でもって、良い環境で育っていたなら、今日この世界は、平和の世界、希望の世界、未来の保障された世界になっていたに違いありません。


韓鶴子総裁講演集」より

神様と人類が探し求める平和の国と世界⑥

 第4に、平和世界を成し遂げるための国連の正しい役割を再度強調したいと思います。国連は、代表的な世界平和機構として、これまで多大な貢献をなしてきました。しかし、創設時と大きく変わってしまった世界の事情と多元化した地球星の問題解決のために、昨年、私の考えを国連に提案いたしました。

 国連内に上院のような特別機構を補強し、宗教的・精神的・道徳的・思想的次元から世界問題を審議するようにすることがその一つです。国連が国益に基礎を置いた政治や外交の力によってつかさどられる次元を超えて、地球星的な理念と神様の高い理想のもとでつかさどられる機構となることによって、初めて万人の権益を保護し、平和世界を創建していくことができます。

 国連だけでなく、今後の世界秩序は、政治主権が道徳的・精神的価値と別個に作用しては、公益と平和を保障することが困難です。神様の理想に基礎を置き、宇宙の公法と通じる精神的・道徳的高次元の指導力が要請されています。政治力やそのいかなる力も、神様と天理の上に立つことはできません。

 また、国連は、非政府民間団体である「NGO」の意見を多く取りまとめていかなければなりません。私が「世界NGO連合」である「WANGO」を創設した理由もここにあります。すべての「NGO」は、より一層対話し、協力しつつ、本来の創設精神を失わないようにしなければなりません。利己的で偏狭にならないように努力しながら、世界のために正しい奉仕を続けていくことをお願いする次第です。

 尊敬する指導者の皆様! 

 自ら実践することなくして平和を語ることは、真の指導者の道理ではありません。また、私たちが座して平和を待っているだけの余裕がある世界の状況でもありません。平和大使たちはもちろん、私たち全員が平和運動の主体となって、必ずや平和世界を創建しなければなりません。国連をはじめとするすべての国際機構は、平和大使館を中心として、歴史的宿願である世界平和理想国家運動に積極的に協力、支援してくださることをお願いします。

 各界各層の指導者である皆様が一心一体となり、共に他のために生きることで、真の愛の家庭理想を実践、創建し、天運の協助を受ける平和の先駆者となりましょう。統一された祖国と平和の理想世界を建設する役軍になりましょう。神様の祝福が皆様の家庭に共にありますように。

 ありがとうございました。


韓鶴子総裁講演集」より

神様と人類が探し求める平和の国と世界⑤

 「神主義」、「頭翼思想」というものは、カイン・アベルの葛藤を始原としたこの世の中にあるすべての葛藤要因と、思想と、その結実を、すべて和合し包容することができる思想であり、主義です。

 葛藤と憎悪の輪を何によって断ち切るのでしょうか。憎悪に対するより大きな憎悪の反応は、むしろ、さらに恐るべき憎悪と破壊を呼び寄せるだけです。これは、平和へ向かう道とはなり得ません。対立し、仲違いする双方の葛藤要因は、ただ真の愛によってのみ感化され、教育され、包容され得るのです。

 神様を中心にした真の愛は、国境に阻まれることがない超国家的なものです。また、真の愛は、宗教の高い垣根も乗り越え、人種差別もない超宗教的、超人種的なものです。神様の理想を中心にした相手のために生きる真の愛の感化力、生命力によってのみ、地球星の左右、前後、上下、内外の様々な葛藤、対立要因がすべて克服され、永遠の平和理想世界が成し遂げられるのです。

 第2に、平和な世界と国家を実現する基礎単位である真の家庭を完成することです。既に言及したように、対立、葛藤の根は最初の家庭にあったのであり、したがって理想的な真の父母の家庭が生まれない限り、平和世界の起源はあり得ません。

 これと連係して、私が世界的に展開している国際祝福結婚は、単純な一宗教団体の結婚式ではありません。神様の愛の伝統を立てる救国、救世の運動です。青少年に対しては婚前純潔運動を実施しています。

 そして、成人すれば、神様の真の愛を中心に夫婦間の絶対信義と貞節の誓約のもとで祝福結婚をさせる運動です。真の愛を中心として、真の家庭と真の父母を成し遂げる神聖な運動です。

 このような理想のもとで教育を受け、結婚した家庭は、エイズを脅威に感じる理由がありません。彼らにとって、エイズ予防は風邪の予防よりも簡単なことです。世界のすべての若者がこのビジョンによって教育を受け、実践すれば、エイズは完璧に予防されるはずです。

 真の愛の家庭は、家庭の崩壊を防ぎ、国家と世界に平和の礎石を置くのです。特に、政治的、歴史的に不和であり怨讐関係にあった国家間の人々が、その高い垣根を越えて姻戚関係、真の愛の関係を結ぶようになれば、和解の範囲は国家を超えて、人類を飛び越えるものになります。

 真の平和へ向かう高次元の公式は、不和と怨讐関係にある家門、さらには怨讐国家の子女たち同士で交差結婚祝福をし、天地が願う真の愛の真の家庭完成の祝福圏を成就させることです。ここから、神様と人間が願う永遠の平和世界が出発していくのです。

 第3に、超宗教的な和解と協力は、平和世界へ向かう必須条件です。私はこの五十年間、超宗教的な和合と対話のための運動のチャンピオンとして活動してきました。常に自らの教団の発展よりもはるかに多くの予算を支援しながら、休むことなくこの運動を行ってきました。変わることのない、このような愛の実践が簡単なことでしょうか。決してたやすいことではありませんでした。

 教団間の和解と協力がない限り、世界平和は期待することができません。神様の理想である平和世界への案内者には、宗教指導者と信仰者がならなければなりません。もし、宗教が偏な教派主義ばかりを強調し、宇宙的な真の愛を教えることに失敗すれば、人類は葛藤と戦争の恐怖から自由になることはできません。地球星の危機の前に、宗教指導者は謙虚に神様のみ旨に従い、超宗教的に手に手を取って真の愛を実践していかなければなりません。

 宗教の感化力によって安らかな人格が創出され、自己主管力が養われて歴史的な憎悪と怒りを消化することから、真の平和と安定がもたらされます。もし、各宗教が教理や儀式の違いを超えて、神様の高い理想のもとでお互いに愛し合い、協力し、奉仕することをこの世の中に見せてあげるならば、世界は劇的に変わることができます。


韓鶴子総裁講演集」より

神様と人類が探し求める平和の国と世界④

 神様の創造本然の世界である平和世界、神様が千年、万年待ち続けてこられた理想家庭さえ立てるならば、それがまさしく地上天国の出発地となるはずです。そこで、かわいそうな神様の恨を解くことができるようになるはずです。

 皆様、太陽を見つめても恥ずかしくなく、海の水を見てもやましくなく、万物の前でも一点の隠し事のない真なる「私」を取り戻し、神様が「私たち」と呼んでくださる家庭を立てましょう。

 そのようにして、神様と人間の間に真なる父母と子女の関係が成立しなければなりません。なおかつ人類の真なる父母であり、愛と生命と血統の根源であられる神様は、人類の先祖であり、ひいては主管者であり、真なる王であられます。エデンの園における人類始祖の堕落により、神様は、そのすべての位置を失ってしまったのです。

 復帰摂理の進展に従って、私は、海洋還元、陸地還元、天宙還元とともに、第4次アダム圏の心情圏還元を宣布し、その土台の上で、失われた神様の王権を取り戻してさしあげる歴史的な「神様王権即位式」を、去る1月13日、韓国において挙行しました。

 本来、アダムが、最初の家庭であり、人類の先祖であり、家庭の根本です。本来は、家庭の王が、未来の国家の王の位置を受け継がなければならず、さらには天宙の王の位置を受け継がなければなりません。そのようになってこそ本然の理想的天国圏が連結されるのです。今や蕩減の時代が終わり、入籍を通して本然の定着時代に入っていくことによって、国の王が連結され、さらには世界の王が連結されていくのです。

 それで、「世界平和統一家庭連合」では、昨年の「真の子女の日」に、天地父母が家庭の王として君臨することを宣布し、入籍された家庭から、初めて天の父母を王として侍っていくことができる時代に入っていくということを宣布しました。

 したがって、すべての祝福家庭は、天地の王に侍る標準的な伝統を立てなければならない家庭であるということを自認しなければなりません。それで、教会時代は終わり、家庭連合の時代が開かれるのです。

 宇宙全体が、一つの核を中心とした連体として連結しているのと同じように、皆様の家庭がそのような核の位置に立って万物を愛し、神様が愛で造られた彼らを取り込んで、愛する主人の位置を備えなければなりません。

 それで、自分の家庭が、神様の前に愛を中心として一体圏を成し、天地父母、王に侍る標準的、定着的、礎石のような家庭だということを感じなければなりません。そのようにして、勝利圏を受け継いだ祝福家庭にならなければなりません。

 尊敬する指導者の皆様! 

 人類は、今こそ独善と無知、そして利己心と憎悪を自ら反省し、神様の前に謙虚に頭を垂れ、天の道に従わなければならない時に至っています。私は、いち早く神様の召命を受け、神様と人類が共に願う平和世界の実現のため、生命を捧げてきました。きょう、私は、平和に向かうための重要ないくつかの点についてお話ししようと思います。

 第1に、私たちは、他のために生きる生活をしなければなりません。利己的な生活は、他人を不快にすることはもちろん、天の道に逆らうものです。他のために生きるということは、直ちに神様に似ることの実践です。神様の真の愛を相続し、家庭と社会、国家と世界を愛することは、宇宙の基本秩序に順応することです。

 真の愛の実践を通してのみ、人格を完成した真の人間、真の夫婦、真の師、真の主人になります。このようになれば、平和を成し遂げる主体となります。他のために生きることは、平和に向かう最初の関門になります。これと関連づけて、平和に至る道は、「神主義」、「頭翼思想」によらなければならないという結論を述べようと思います。


韓鶴子総裁講演集」より

神様と人類が探し求める平和の国と世界③

 尊敬する各界指導者の皆様! 

 今日の問題をもう少し根本的に掘り下げて調べてみるために、神様の創造理想を中心として、真なる「私」と「私たち」の関係について考えてみようと思います。人間は堕落によって、真なる「私」の位置を探し出すことができなかったので、神様も「私たち」という言葉を使用してみることができませんでした。創造理想的意識圏内に立つことができ
る神様御自身が「私のもの」「私の子供」と言える関係を結ぶことができなかったのです。

 したがって、私たちがもっている「私」という概念は、神様の本来の創造理想とは何の関係もないものであるがゆえに、私たちは自らを完全否定しなければなりません。

 神様は、神様御自身が安心して「私たち」と呼ぶことができる真なる男性と真なる女性、すなわち神様の真なる息子、娘を探し求めて復帰摂理をしてこられました。神様は、愛の主体、生命の主体、血統の主体であられるので、永遠に一体不可分の基準に立っている真なる息子、娘を探し求めてこられたのです。

 私たちは、まず心と体の統一によって個人完成を成し、その基盤の上で神様と父子間の縦的関係を樹立しなければなりません。しかし、縦的な関係だけでは「私たち」という言葉は成立しません。そこには必ず横的な関係が調和を成さなければなりません。

 したがって、男性と女性が、真なる祝福結婚を通して真なる夫婦関係を結び、子女を生んで真なる家庭を立て、3代を中心として四位基台を完成すれば、初めて天は、家庭単位で「私たち」と呼ぶことができるようになるのです。

 それならば、私たちは、どのようにすればそのような位置まで進むことができるのでしょうか。神様は、心と体が完全に一つになった立場で万物を創造されました。それは、絶対愛と絶対信仰を中心とした絶対投入でした。

 そこでは、御自身の利益や事情を考える余裕などありません。完全に100%与え、また与える、「ため」に生きる愛の始原がまさしくここにあったのです。私たちの家庭においても同様です。神様の立場にいる父母は、真の愛を中心として、「正・分・合」の論理から見れば、「正」の立場で完全投入、絶対投入することによって子女を生み、養育して縦的な「私たち」の軸を立てなければなりません。

 そして、横的には、夫婦が「分」の立場で真の愛を中心として完全一体となって横的な軸を立てるようになれば、子女たちは「合」の立場で自動的に縦横の軸に合わせて一つになり、兄弟間には前後関係という、またもう一つの軸が立てられるようになり、その時初めて縦横と前後で完全な「私たち」の概念が実体的に展開するのです。

 ですから、家庭が極めて大切です。家庭こそ、天が私たちに与えられた最も貴い贈り物です。家庭という環境がなければ、いかにして私たちがこのような絶対的基準の「私」を探し出し、縦横や前後で完全な「私たち」というものを考えてみることができるでしょうか。家庭こそ、愛と平和と幸福の揺りかごなのです。

 それならば、真なる「私」は、どこから探し出すことができるでしょうか。「ため」に生きる愛を実践する生活から、それは可能です。自分0点で完全に否定し、家庭のために生き、国のために生き、世界人類のために、そして神様のために生きるようになれば、真なる「私」は自動的に探し出されるのです。私たちは自らを前面に立て、「私」をむやみに主張してはいけません。

 非常に長い歴史の裏街道で真なる「私」を主張することができる子女を探し求め、恨(ハン)で絡み合った復帰摂理をしてこられた神様の心情を少しでも知るならば、むやみに「私」を主張することはできないはずです。私たちは、寝ても覚めても理想家庭の完成のために生きなければなりません。


韓鶴子総裁講演集」より

神様と人類が探し求める平和の国と世界②

 ところが、人間始祖は、神様の祝福のもとで真の愛の家庭を実現することができませんでした。真の愛を中心とした真の人、真の夫婦、真の父母になることができなかったのです。神様に背き、堕落した人間始祖が楽園から追われたのち、神様の祝福とは何の関係もない偽りの愛を中心とした夫婦となり、子女を生み、今日の人類世界をつくってしまったのです。

 有史以来、人類は神様を中心とする真の愛の基盤から生まれることができずに、心と体が葛藤する矛盾をもったまま生きてきました。この葛藤は、兄弟間の憎悪と殺人という悲劇として現れたことを、人間始祖の家庭内において見せてくれています(アダムの息子カインによる弟アベル殺害)。神様を離れた家庭の悲惨な実状です。

 人間だけが中心となった家庭、人間関係だけを基礎とした家庭は、本然の理想家庭ではありません。神様と垂直的な真の愛の軸で連結された家庭が理想家庭です。真の父母と真の愛のもとで、縦的軸を共有する兄弟間において、初めて完全な和平の関係が成し遂げられます。

 真の愛は、理想家庭の中で体得され、また結実します。家庭は、唯一の愛の学校です。真の愛は、権力や知識や力の基盤からは決して創出されません。


 尊敬する各界指導者の皆様!

 皆様が今日の世相を見渡し、また、若者に対するとき、何を感じますか。希望に満ちた明るい未来だけを感じますか。日ごとに増加する若者の犯罪率、暴力と麻薬の乱用、不倫と退廃、10代の未婚の母問題と価値観の混乱など、未来社会を否定的に予測し、苦悩することが多いはずです。

 なぜ若者がこのようになったのでしょうか。より優れた学校教育や制度と環境の改善も、もちろん部分的な解決策となりましょう。しかし、根本の根は、そのようなところにはありません。真の愛の最初の家庭を失った人類が、歴史の結実期を迎える中で、家庭が安定性を失い、崩壊しているところに、その原因があります。家庭の崩壊現象は、一つしかない愛の学校が壊れたことと同じであり、その否定的波及効果は、とてつもないものです。

 社会的に様々な不安要因となることはもちろん、国家的、世界的に多くの問題を併発させます。特に青少年には、情緒的不安を与え、生の座標を変えさせ、脱線と放縦の生活への直接的な原因にもなります。

 結婚忌避が増えていることや離婚率の増加など、家庭基盤が急速に崩壊している現実は、あすを憂慮する指導者が先駆けて、必ず解決しなければならない課題だといえるでしょう。

 神様の第1祝福と第2祝福を失った人類は、神聖で永遠な夫婦の愛を実現できる真の愛の個体完成の重要性が分からなくなりました。青少年は大部分、婚前の純潔と真の愛の人格に対する徹底した教育を受けることができていません。喜びと幸福と理想の根本である真の愛の価値を知らないのです。夫婦間の信義と貞節が軽んじられ、結婚の神聖性が無視される風潮の中で、人類社会はとてつもない悲劇と災いを内的に蓄積してきています。男女間の愛が刹那的で、肉欲的で、享楽的なことだけに走る、いわゆるフリー・セックスと世俗文化の中で、真の愛は立つ場所がなくなってしまいました。急速度で拡大するエイズ性感染症(STD)は、人類の生存自体を脅かしています。エイズからの安全地帯はないともいわれています。

 今、世界を震撼させているテロリズムよりもさらに恐るべき脅威が、安全地帯もなく、私たち全員の間近に迫っているというのです。1度、感染すれば、幸福も理想も生命もすべて放棄しなければならないという、このとてつもない地球星の災いを解決することができずに、どうして私たちがこの時代の指導者だということができるでしょうか。

 また、「万物を主管せよ」と言われた神様の第3祝福の前でも、人間は真の愛の管理責任を果たすことができずにいます。もし、自然が人間の虐待に対して反抗し、人間を拒否するとすれば、どのようになりますか。既にそのような兆候が現れているではありませんか。生態系と自然環境が、無言のうちに人間の傲慢さに対して懲罰を与える前に、人間は、真の愛の人格を回復して万物の前に現れなければなりません。


韓鶴子総裁講演集」より