韓鶴子女史み言アーカイブ

韓鶴子女史が語られた至宝のメッセージ

真の父母と成約時代③

真の愛の復帰

 紳士、淑女の皆様。聖書にはエバが先に神様の戒めを破り、サタンと関係を結んだとあります。堕落によって、エバはもちろんのこと、アダムとその息子たちであるカインとアベルまでも利己心と偽りの愛を中心にして、サタンの血統を受けるようになりました。

 このように、サタンによって本来の軌道を離脱した、最初の始祖アダムとエバの末裔となった私たち人間は誰であれサタンの血統を受け継いで生まれています。ヨハネによる福音書第8章44節に「あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって」と、イエス様がとがめられたのも、正にこのような理由からです。旧約聖書では、「目には目を、歯には歯を」という公式に沿って、救援摂理の役事を展開してきたと説明しています。

 「統一原理」では、過ちを償うことを「蕩減条件を立てる」といいます。堕落したエバが、自分の失敗を償うには、すべての責任を1人で負わなければなりませんでした。エバは堕落行為に対し、反対の経路を通じて原状に戻し、各段階を霊肉両面から復帰しなければなりませんでした。天のみ意は、エバが次子であるアベルをみ旨に従うように協助することでした。

 創世記によると、神様はアベルの献祭は受け取りましたが、カインの献祭は受け取りませんでした。しかし、これはアベルが期待してそうなったのではありません。カインは、アベルを神様が選んだ者として認め、彼と一体となるべきでした。もしも、カインとアベルが一つになったならば、子女の立場を失うという堕落によって生じた2番目の問題は、その時、既に解決されていたに違いありません。そうなれば、神様はアダムとエバの問題だけを解決すればよかったのです。

 エバは元来、人類最初の母となるべきでした。エバカインとアベルを一つにし、真の父母のための基台をつくらなければなりませんでした。しかし、エバは生存中にその使命を果たせませんでした。それで歴史は誰か他の女性が現れて、堕落したエバの代わりに蕩減してくれるのを待つようになりました。

リベカの模範的事例

 聖書では、イサクの妻リベカを神様のみ業を成した最も偉大な女性の1人として描いています。エサウヤコブの母として、リベカはイサク家庭で、アダム家庭のエバとちょうど同じ立場でした。リベカはエバとは違って、神様の摂理を理解しました。それでアベルの立場にいた次子ヤコブを助け、長子エサウが受けるようになっていた祝福をヤコブが受けるようにしました。

 エサウは、自分の受けるべき祝福が弟ヤコブに与えられたことを知って、カインがアベルを殺害したようにヤコブを殺そうとしました。しかし、母リベカの助けによって、2人の兄弟は血を流す代わりに、最終的には温い兄弟愛で和解しました。この劇的な和解こそ、神様から見た時、重大な勝利となりました。

 しかし、それはまだ完全な勝利とはならず、血統転換の立場から見て、あくまでも象徴的なものでした。実体的な血統転換は、母親の胎中で完成しなければなりませんでした。ここに、タマルを中心とした逆説的出来事の理由があります。リベカのようにタマルも、堕落したエバの立場にいました。この点を理解すれば、イエス様がなぜタマルの血統を受け継いだ、ユダの支派から生まれるようになったかの理由がよく分かります。

 皆様も、タマルの双子の息子にかかわる話を聖書で読んだでしょうが、彼女は舅であるユダと関係して、双子の息子ペレヅとゼラを身ごもりました。聖書にはこの双子は母の胎中で長子権をめぐる戦いをしたと記録されています。タマルの出産過程を見ると、ゼラの手が先に出たので助産婦がその手首に赤い紐を結ぶと、また母親の胎内に引っ込んでしまいました。次子となるはずのペレヅが先に生まれ、長子となりました。このようにして、カインとアベルの位置が出生前に転換されるという摂理が成就しました。

 正にこの条件のために、イスラエルがメシヤを迎えることのできる選民国家となったのです。伝統的な道徳観から見れば、リベカとタマルにかかわる話に疑問を抱かざるを得ません。神様がなぜ、そのような女性を祝福されたかは今日に至るまで神学界の謎となっています。

 先に述べたように、イエス様をこの地上に送るためには、失われた血統をサタンから取り戻す準備作業が必要でした。このようにして取り戻した真の愛の血統的基盤の上で、イスラエルの国が拡大していったのです。イスラエルは、勝利を意味する言葉です。2人の女性の勝利は、また血統転換の勝利を意味しています。


韓鶴子総裁講演集」より